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「モノ」のトリセツ

2章「モノ」のトリセツ

-モノに振りまわされない人生のために-

1.「モノ」とのつき合いで誰もが困っていること

 あなたは、「モノ」とのつき合いで、こんなことを感じたことはありませんか?

①モノが増えて困る。

②モノが多くて部屋や家が片づかない。

③もったいなくてモノがなかなか捨てられない。

④モノの収納場所が足りない。

⑤使っていないモノが多い。

⑥使いたい時にモノが見つからない。

⑦同じモノをたくさん買ってしまう。

⑧使いこなせていないモノがたくさんある。

⑨使ったモノが元の場所に戻せない。

⑩部屋が汚い。

 この中のこと、いくつも当てはまりませんか?

 きっとみんなそうです。もちろん私もそうです。

 これらのことに当てはまった人は、この先を読み進めてください。

2.整理と片づけの効能

-「整理と片づけ」のゴール・目的 何のために整理や片づけをするのか?-

では、具体的な話に入る前に、何のために整理や片づけをするのかについて、少し考えてみましょう。

Q1. 「整理と片づけ」の対象は何でしょう?

A1.  言うまでもなく、「整理と片づけ」の対象は『モノ』です。

Q2. では、モノは何のために持つのでしょうか?

A2.  その答えは「モノは使うためにあり、使うことによって何かをなすために持つのである。」ということです。

Q3. ではあらためて、何のために整理や片づけをするのでしょうか?

A3.  それは、「いつでもモノを使いやすいようにしておくため」です。

Q4. さて次に、整理と片づけをするとどんな効果や効能があるのでしょうか。

A4.  それは、次の3つです。

①          頭と心がスッキリする。

②          気持ちが楽になる。

③          人生をクリエイティブに楽しめる。

まずは、整理や片づけをすると、雑然としていたモノが文字通りわかりやすく整理され、片づいて「頭と心がスッキリ」します。

それと同時に、雑然としていた状態に対してモヤモヤしていたものがなくなり、気持ちが楽になってきます。

そして、「いつでも使いやすいようになったモノ」を使って何かを成し遂げ、人生をクリエイティブに楽しめます。

これが、「整理と片づけ」の効果・効能です。

3.「お・か・た・づ・け」とは・・・

-「選んで」「しまって」「使って」「戻して」「掃除する」-

「お・か・た・づ・け」

という言葉を聞くと、あなたは何を想像しますか?

「片づけなさい!」「整理整頓しなさい!」という聞きなれた言葉は・・・

子どもの頃から言われ続け、

       自分でもそう思い続け、

           家族からも言われていること。

ではないでしょうか。

『整理と片づけ』

世の中では、新聞、雑誌、テレビの特集、ムック本、書籍、ブログ、インターネットにいたるまで、その話題で持ちきりです。

なぜなのでしょう。

・・・それは、

「みんなが苦手だから」です。

整理や片づけが得意な人はいません。

もちろん、私もそうです。

では、どうすればいいのでしょうか。

私は、「選んで」「しまって」「使って」「戻して」「掃除する」の5つのキーワードでのり切りました。

あなたも声に出して言ってみてください。

はいっ!

「選んで」

「しまって」

「使って」

「戻して」

「掃除する」

実は、難しいことは考えなくても、たった「それだけ」のことで、ほとんどのことが何とかなります。

少なくても、「及第点」にはなります。

「そのぐらいのレベルで十分だよ」と賛同していただける方は、さらにこのまま読み進めてみてください。

究 極 奥 義 の「選んで」「しまって」「使って」「戻して」「掃除する」、

 では具体的に考えていきましょう。

4.< 究 極 奥 義 > 「選んで」「しまって」「使って」「戻して」「掃除する」

これを言いかえると、「整理(選別)」「収納(格納)」「使用(利用)」「片づけ(整頓)」「掃除(メンテナンス)」です。

『整理・片づけ』のコツは、「選んで」「しまって」「使って」「戻して」「掃除する」という単純なことを、簡単な「技」や「テクニック」を使いながら、一つ一つ実行していき、最終的には「それぞれの『行動を習慣化』していくこと」です。これが、『究極奥義』です。たったこれだけです。

5.「整理(選別)」

-整理は「出口のないバケツ」ではなく「出口のある蛇口」のイメージ-

入り口部分での考え方として3つの「心がまえ」があります。

①          すべてのモノは「フロー」であると考える。

②          使わないモノ、不要なモノは持たない。

③          持ちものはすべて「お気に入り」にする。

つまり、入り口で厳選することが大切です。

まずは、とにかく「これだけ!」心に刻んでみてください。

世の中では、「断捨離」「ミニマリスト」「ときめき」など、モノを減らしたり、厳選したりする行動や習慣、生き方が流行しています。

それぞれ良いところがあり、その道に進んでいく人も多くなりました。

私の場合はそこまで徹底した形ではなく、緩やかに実行しています。

なぜなら、基本的に『モノは「何を持っているか」ではなく、「それを使って何をするか」が大切である』と考えており、「モノの数やモノに対する強いこだわり」についてはあまり頓着しないようにしているからです。

そして、その「モノ」との関わり方の流れが「整理や片づけ」であり、またその入り口が「整理(選別)」なのです。

(1)すべてのモノは「フロー」である

まずは、最初の心がまえ『すべてのモノは「フロー」であると考える。』ですが、整理は「出口のないバケツ」ではなく「出口のある蛇口」のイメージですることが大切です。

バケツをイメージしてみてください。バケツに水を入れていくと、だんだん溜まっていき、いずれ一杯になります。

これが『ストック』の状態です。それ以上水を入れ続けるとあふれ出して「オーバーフロー」の状態になります。

これをもし「モノ」にあてはめると、部屋や家がモノであふれ返り、収拾がつかない状態になります。

でも、ストックしないで、「出口のないバケツ」を「出口のある蛇口」に変えてみたらどうでしょう。

蛇口から水を外に流せば、満水になることはありません。ですから、いつでも水が流れている状態、すなわち『フロー』状態にしておけば解決するのです。

この単純な理屈を理解するだけで、多くのことが解決します。

ただし、一つ落とし穴があります。それは・・・。

蛇口から出せる水の量より多くの水を流し入れないことです。いくら蛇口から水を出すことができても、その量以上に多くの水が流入したとしたら、当然のこととして、いつか水はあふれ出してしまいます。

実はこんな当たり前のことになかなか気づかないのです。

(2)使わないモノ、不要なモノは持たない。

次に『使わないモノ、不要なモノは持たない。』という原則です。

モノは何かを成し遂げるために持つのですから、使わないモノや不要なモノは持たないようにします。

でも、これもなかなか実行できません。

「いつか使うから・・・」「まだ使えるから・・・」「想い出の品だから・・・」「記念だから・・・」「もったいないから・・・」「かわいいから・・・」という敵がすぐにあらわれます。

逆に、これができたら「向かうところ敵なし」となります。

(3)持ちものはすべて「お気に入り」にする。

そして最後に『持ちものはすべて「お気に入り」にする。』という原則です。

使うモノ、必要なモノを選ぶときにさらに「お気に入り」という概念を取り入れましょう。「好み」や「こだわり」、「人生観」などと照らし合わせて、「お気に入り」のモノを持つようにしましょう。そうすると、たくさんのモノを持たなくても満足することができます。満足することによって「二番手以降」はいらなくなります。そのことによって、結果的にモノを減らすことにつながります。

6.「収納(格納)」

- 一軍のモノたちを使うための収納(格納)-

次に、入り口部分で「十分に選んだ」一軍のモノたちを使うために収納(格納)します。

ここで大切なのは、

①取り出しやすい、使いやすい収納をすること。

②使う場所に近い、面倒くさくない収納場所を決めること。

③最終的な収納場所、モノの居場所をつくること。

の3つです。

まず、『取り出しやすい、使いやすい収納をすること。』ですが、モノを使うときのことを想像してみてください。

たとえばメモをとるための「ペン」。これがもし、「机の引き出しの奥の箱の中にしまった筆入れ」に入れてあったらどうでしょうか。すぐにメモを取りたいのに、取り出しにくく、使いにくい状況だったら、「まあいいか、やめよう」となったり、メモする内容を忘れてしまったりします。

次に、『使う場所に近い、面倒くさくない収納場所を決めること。』ですが、たとえば掃除機が、「家のいちばん端の納戸の奥にある積み上げられた重たい木の箱」に入っていたらどうでしょうか。

「掃除するの、やめようかな」「出すのが面倒くさいな」となりませんか。

そして最後に、『最終的な収納場所、モノの居場所をつくること。』です。

収納場所が決まっていないと、「あれはどこだったっけなぁ」「どこに置いたかなぁ」「見つからないなぁ」ということになります。

これらのことができるようになると、モノが「いつでも使える」ようになります。

7. 「使用(利用)」

(1)「もったいない」とは仏教用語

いよいよメインの「使う」ということについて考えます。

①          モノは使わないともったいない。

②          モノはどんどん使う。

③          モノは使い切る。

単純なことですが、最初の『すべてのモノは「フロー」であると考える。』という原則に従い、どんどん使って、使い切る、それが「モノを活かす(生かす)」ということです。

「もったいない」とは仏教用語で「勿体ない」つまり、「物体があるべき姿で使われていない様子」をあらわし、本来のそのモノの価値が活かされていない状態を指しています。「宝の持ち腐れ」「デッドストック」ということになります。

ですから、本来モノが持っている価値、すなわちモノの命を活かし、どんどん使ってやって、命を全うさせてやる、つまり、使い切ってやるというのがベストだと思います。

(2)使いたいときにそこになければ「ない」のと一緒

モノはそれを使って何かの目的を成し遂げるために使う「道具」なのです。ですから、使いたい時にそこになければ「ない」のと一緒です。

「ない」「見つからない」「使えない」「用が足りない」ということがないようにしましょう。

8.「片づけ(整頓)」

次は、片づけ(整頓)です。

言葉で説明すると、「一度使ったモノを再び元の場所に戻し、次にいつでも使えるように整えておく。」ということですが、とても耳の痛い言葉です。

では、どうすればうまくいくのでしょうか。

①必ず定位置に戻す。(必ず戻す)

②居合い抜きの要領で使ったらすぐに戻す。(すぐ戻す)

③戻しやすいように場所や配置を工夫する。(戻しやすく)

私が実践しているのは、このようなことです。

先ほども述べたように、「モノは使うためにあり、使うことによって何かをなすためのものである。」つまり、使いたいときにそこになければ「ない」のと一緒であるので、いつもあるべきところ「定位置」に置いておくようにします。

モノの「最終定位置」を決めてしまえば、そのモノの整頓は二度としなくてよいのです。

次に、1つの作業が終わったら、居合い抜きのように元の場所にきれいに戻しておき、そのあとに新たな作業を始めれば、間違いが起こる余地がなくなります。

最後に、使ったモノを戻すとき、収納場所を「簡単に戻しやすい場所」「テマヒマがかからない収納方法」「一目で戻すところがわかるようにしておく」など工夫をすると、戻すこと自体を行いやすく、習慣になりやすくなります。

9.「掃除(メンテナンス)」

-「汚部屋」「ゴミ屋敷」は嫌-

最後、5つ目は、掃除(メンテナンス)です。

最近、「汚部屋」「ゴミ屋敷」「生前整理」「老前整理」などという言葉がよく聞かれますが、モノがオーバーフローし、コントロールできない状態になるケースが多くなってきたのではないでしょうか。

結局、モノを片づけないと掃除がしにくいので、ますます汚くなるという負のスパイラルに陥るのです。

先の4つのことを実践していくと、あまりひどい状況にはならないと思いますが、「モノ自体」や「モノを使っていくシステム」を常に維持・メンテナンスし、デスク周り、部屋、家、環境、システムをきれいに掃除しておくことが、ゴールである「モノは使うためにあり、使うことによって何かをなすものである。」という大原則を実現することにつながります。

 また、モノ自体、道具として使うモノのメンテナンスが大切です。使うときに使えなければ意味がないので、きちんとメンテナンスしましょう。できればメンテナンスフリーの道具を使いましょう。

例えば時計なら、ソーラー電波時計を使うとほとんどメンテナンスしなくて済みます。私の場合、楽器や万年筆などの筆記具などもそういうことを意識しています。

10.行動化・習慣化しなければ元の木阿弥

これらのことも続けていかなければ、元の木阿弥です。

整理と片づけを行動や習慣にするために、参考になることを魔法の言葉『エンジョイハックス』の中からいくつか紹介します。参考になるものがあったら実践してみてください。

①片づけが最終目的ではない。

「片づけること」が最終目的ではないので、あまり細かいことにこだわらず、どんどん片づけていこう。

②片づけは場所と時間を決めておこなう。

片づけは「ここだけ」「5分だけ」など片づける場所と時間を小さく限定するとうまくいくことが多い。

③「あとで整理」はなし、その時、その場でやる。

「あとで整理」するから「とりあえず」・・・。は絶対にしない。その時、その場で片づける。

④気がついたときにすぐやる。

気がついた時にやってしまうとすぐ終わるし、忘れることもない。ラッキーだと思ってすぐに片づけてしまおう。

⑤3分あったら片づけをする。

3分時間ができたら、片づけをする。その3分の片づけがそれ以上の効率アップにつながる。

⑥片づけをなるべく早く済ませるには「見えるところ、目についてところから片づける」「片っ端から片づける」「いつでも時間ができた時に片づける」とよい。

⑦整理するサイクルを自分で決める。

たとえば、「毎日4時」「毎週金曜日」「毎月20日」「毎年12月」など、「整理する日」を決めておき、必ずその時にやるとうまくいきやすい。リマインダーをつけておくともっとうまくいく。

11.長続きさせるための5つの心がまえ

整理と片づけを長く続けるためには、あまり肩ひじを張らない方がうまくいきます。長続きさせるための心がまえとして、

①片づけ自体が目的ではない。モノを使って何かを成し遂げることが目的。

②「完璧な片づけ」は不要。だいたいでいい。

③モノは一度に片づけようとしない。少しずつでいい。

④片づけは場所と時間を決めておこなう。そこだけ、何分だけ。

⑤「きれいに片づけること」がゴールではない。使いやすくしておく。

ということを意識しています。

12.モノと道具とのつき合い方 魔法の言葉 

①身の回りはすべて「お気に入り」にする。

身の回りのもの、持ち物はすべて自分で選び、気に入ったものを使う。そうすることによって、長く大切に使うようになり、愛着もわいてくる。自分ブランドをつくるのにとても大切な要素である。

②道具はメンテナンスを大切にする。

道具は常にメンテナンスし、アクティブな状態にしておく。自分でやってもいいし、専門家に任せてもいい。

③できるだけメンテナンスフリーのモノを選ぶ。

メンテナンスにテマヒマかからないもの、できればメンテナンスフリーの道具が理想的である。道具は「使うこと」「使って何かをすること」が大事で、メンテナンスすることが目的ではない。

④モノ・道具は「いつも同じところにある」ようにする。     

モノ・道具はいつでも使えるように、「いつも同じところにある」ようにする。

⑤道具は「自分の身体の一部」となるようにする。  

道具は何かをするために使うものなので、「自分の身体の一部」となるようにする。

⑥いらないモノは持たない。         

人生の中でそれに関わる時間、労力が分散してしまうので、なるべくいらないモノは持たない。

⑦「良いもの」を使う。  

高価なもの、高級なものではなく、質の「良いもの」を使う。

⑧モノ・道具は使いたいときに使える状態にしておく。         

いつでも使えるように「使える状態」にしておく。

⑨「バターをのこぎりで切らない」適切な道具を使う。         

「バターをのこぎりで切らない」といわれるように、そのことに合った適切な道具を使う。

⑩2番手以下のものはいらない。   

同じ機能のモノか2つ以上あると、そのモノに関わる時間が少なくなってしまう。また、自分の気持ちも分散してしまうので、2番手以下のモノは持たないようにしよう。

⑪身銭を切ってモノを買う。         

モノは自分で身銭を切って買うことによって、大切に使うようになる。

⑫トレードマークとなるようなモノ・道具を持つ。  

自分のトレードマークになるようなモノを使う。やがてそれに合ったキャラクターになる。

13.私の覚悟、「目指す理想は伽藍堂(がらんどう)」

「整理と片づけ」を実行するときに、大袈裟ですが、次の3つのことを覚悟しています。

①「選ぶ」ということは「他を捨てる」こと。

②「片づけ」とは、今までの自分に「カタをつける」こと。

③目指す理想は「がらんどう」、「伽藍堂(がらんどう)」とは「すべてが整理され、集中できる場所」のことである。

そうなるともうモノに惑わされない、振り回されない、自分が中心となります。

これらは、ある意味「修行」のような側面があり、最終的に到達する「悟りの境地」のようなものではないかと思います。

ですから、これまで書いてきたことのベースにこういうことがあると理解していただければと思います。

世の中には、整理・片づけについての本や情報が、いろいろあふれています。

本やさまざまな情報に接するときには、「どんな情報なのかな」「どんなことを言っているのかな」と自分なりの観点で峻別してみてください。

そして、あくまでも「自分本位の整理と片づけ」を意識してください。正解は一つではありません。

『人生を豊かに生きるための7つのトリセツ』セルバ出版 岩下敦哉著 より引用 

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