ミスター定時の秘伝・直伝実践テクニック(書き下ろしメモ)
第四章 【特別付録】ミスター定時の秘伝・直伝実践テクニック(書き下ろしメモ)
【1】【特別付録】ミスター定時の秘伝・直伝実践テクニック(書き下ろしメモ)
ここで、まだ体系化していない「ミスター定時の秘伝・直伝実践テクニック」を公開します。まだ本当のメモ書き段階なので、ラフで言葉も選んでおらず、不完全、順不同で重複項目もありますが、この小冊子の読者だけにお伝えします。
普段私が使っている実践テクニックなので、すぐに活用できると思います。
1.目的・ゴールの確認・決定をする。
この仕事・プロジェクト・タスクで「求められていることは何か」ゴールや目的を確認してから始める。
2.「全体像」と「やること」の確認をする。
①まずは全体を見る、全体像を把握する、鳥の目で見る。
②ゴールまでの道のりがわかっているプロジェクトやタスクは、ゴールから逆算して進めるとうまくいくことが多い。
③「とりあえず動かず」に「はじめにじっくり考えてから」動く。
3.「やること」すべてを一か所に集める。
①タスク管理は「一元化」が鉄則、タスクの置き場を「一か所」になるような仕組みづくりをし、「ヌケ」や「モレ」をなくす。メールやスケジュール情報も「タスクファイル」に一元化して入れておき、「依頼中」や「返事待ち」などの情報も「書類立て」でタスクと一緒に一元管理する。
②タスクリストやタスクメモはわざわざリスト化しない。
なぜなら、書面、メール、電話、口頭、伝言メモ、FAXなど様々な形で入ってくるから。オフィスのデスクに「A4タスクメモ」+「A4クリアホルダー」+「ポストイット」+「書類立て」で「タスク処理システム」をつくる。清書や一覧表づくりはそのこと自体のテマヒマがムダである。紙のメモ、メール打ち出し、書類、依頼文などをA4クリアホルダーに入れ、ポストイットで見出しと実行日・締切日を付け、「今日」「明日以降」の書類立てに入れてスケジュールに組み込む。
4.その中から「やること」と「やらないこと」を選別する。
①定時を目指すなら、ムダなこと、余計なこと、不要なこと、やらなくてもよいことをしない。余計な仕事を増やさない。不要な仕事を迷わず断る。
②タスクリストを減らすには、「やる必要がないこと」「やらなくてもいいこと」「やった方がいいこと」「今日やらなくてもいいこと」「今すぐやらなくてもいいこと」の峻別、緊急度や重要度の区別などの「自分軸の判断」が重要である。
③常に「本当にそれをやらなければいけないのか」「本当にそれが必要なのか」「やらなくても良いのではないか」と考える。
④入ってきたタスクを仕分けする「仕分けタイム」をつくる。
⑤「そのタスクは本当に必要なタスクなのか」と一度立ち止まってじっくり考えてみる。
⑥前提条件、諸条件を確認してタスク(やること)を決める、洗い出す。同時に「やらないこと」を決める。
⑦「必ずやらなければいけないタスク」だけやる。「やった方がいいタスク」「やらなくてもよいタスク」はやらない。
⑧「結果につながらない仕事」「仕事のための仕事」「価値を生み出さない作業」はしない。
⑨「いつかやるけど今やらなくてもいいこと」「やりたいけどやらなくていいこと」「やった方がいいけどやらなくてもいいこと」は「サムデイリスト(いつかやること)」としてToDoリストやタスクリストと分けておく。
⑨サムデイリストは例えば「一年間やらなかったことは年末・年度末に捨てる」などきっぱり整理すると良い。
5.「やること」の中で、「やる範囲」を必要十分にしぼる。
①完璧主義は「自己満足」である。完璧な仕事はほとんどの場合求められていない。たいがいの仕事は、7割の仕上がりで必要十分となる。過剰品質は不要である。完璧を目指さず、70点から80点で「手離れ」させる。
②資料は「量や体裁」にこだわらないで、「シンプルでわかりやすい」形にする。
6.手法、やり方、手順、工程を決める。
①ある程度の大きさにタスクを分けるとわかりやすく管理しやすい。
②仕事は基本的には「定型化」「定例化」「ルーティン化」「パターン化」「仕組み化」して「毎回調整」「毎回確認」が必要なダンドリや「考える、悩む、調整する」ダンドリは避ける。そうすると省力化でき、ミスやエラーが減り、ストレスが減り、ゆとりができる。
③ルーティンワークや単純作業などで同じような作業をくり返す時に、毎日「1から」考えてタスクを行うのはムダである。手順書、マニュアル、時間割、分担表、チェックリスト、スケジュール表などを使い、「誰でも」「いつでも」「何度でも」同じようにできる「仕組み」や「システム」をつくる。「ひな型」「フォーマット」は自分や先人の知恵と経験である。それで用が足りるのであればそれで済ますことが肝要である。新たにいろいろ作ったとしても過剰品質になることが多く、テマヒマもかかる。必要十分であればそれでいい。
④限られた時間の中でたくさんのタスクを片づけるためには、1つ1つのタスクを「短く」「シンプルに」やること。頭の中や心の中をシンプルにスッキリと保つため、デスクの上は1つのタスクだけ置き、マルチタスクをせず、常に「シングルタスク」をくり返す。そして「居合切り」のように一つ一つ、一手一手シングルタスクを素早くくり返し、あたかもマルチタスクのように仕事をこなす。
⑤できた順に仕事を次の人にパスする「1個流し」を心がけると、リードタイムが減り、一人ひとりの作業を滞らせず、空き時間をつくらせないようにできるので、全体の待ち時間がなくなるので効果的である。
⑥資料、メール、議事録、報告書、データなど、過去の自分のリソースをうまく使いまわし、テンプレートとして再利用するとテマヒマをかけずに済む。
⑦「ガントチャート」や「タイムスケジュール」でタスクやプロジェクトのダンドリや流れをつかみ、「後工程」も考えたダンドリ、つまり、作業、タスク、工程のつながりをよく考える。
⑧「できるかできないか」ではなく、「どうすればできるか」「できるようにするにはどうすればよいか」を考える。「泥船でも向こう岸までたどり着けばいい」「薄氷でも向こう岸まで渡り切れればいい」「綱渡りでも向こうまで渡り切れればいい」そう思わなければ、そうしなければ決して向こう岸までたどり着くことはできない。そして、ゴールに向かうための最短距離であるならば、迷わず人に頼る、頼む、力を借りる。恥も外聞も名誉もプライドも全く関係ない、わざわざ遠回りして自力でテマヒマをかける必要は全くない。
⑨タスクやプロジェクトにおいては、「才能」「意思」「記憶」など人間の曖昧で弱い部分の力に頼らず「仕組み化」してしまう。
⑩マニュアルは「正確」でなくて良い、「そのタスク」が完遂できればそれでいい。それ以上のテマヒマはかけない。
⑪「めんどうくさいこと」を何とかする、それを「改善の余地がある」と読みかえ、「簡単にする」にはどうすればよいかの解決策を考える。そして試行錯誤して新たに取り組んだタスクを「次からはもっと楽にできる」ようにと考え、工夫し、メモや手順書に残しておくとどんどん時間にゆとりができていく。
7.スケジュールを決める、時間割をつくる。
①締め切りを決める・守る
「時間切れの100点」は「0点」と同じである。制限時間内にタスクを終わらせ、「期限」はどんなことがあっても必ず守る。
仕事も会議もテストの時のように「終了時刻」になったら「強制終了」する習慣をつける。するとやがて「時間内に」「時刻通りに」終了するようになっていく。締め切りを決めると「締め切り効果」によって期限までにタスクが終わる。
帰る時刻、終わる時刻を先に決めてしまう。そして、仕事帰りの予定を決めてしまう。そうすると限りある時間を意識するようになり、残業をあてにしないで仕事をするようになる。
タスク管理では、「スタートライン」「マイエンドライン」「デッドライン」と「タスク実行日」を決めてコントロールすることが大切である。
②締め切りのないタスクも予定・時間割を決める
タスクが発生したら「仮にやる日」を決めて、自分とのアポイントを取ってしまう。「締め切りや期限のないタスク」こそ、スケジュールに入れて、「モレや先延ばし」を防ぐ。時間割をつくり、自分自身への強制力で行動させる。決めないといつまでも手をつけない。手をつけないといつまでも終わらない。終わらないといつまでも結果が出ない、ゴールにたどり着けない、目的を果たせない。そしていつまでも居座る。時間があればあるほどタスクに全部の時間を費やしてしまう。逆に期限や締め切りを決めてしまえば、その時間内でタスクを終えることができる。
タスクは「すぐやる」「まかせる」「あとでやる」の3つに即決する。数分で終わりそうなことは「すぐやる」。そうすると一生そのことを考えなくても良くなる。時間のかかりそうなタスクは「あとでやる」ことにして、「いつやるか」を決める。そうすると、今頭の中にあるワーキングメモリを圧迫しないで済む。また、無意識の中で手順やダンドリが整理され、次に手をつける時に時間のゆとりが生まれる。
③タスクの山と谷をならす
スケジュール表や予定表を俯瞰して、各プロジェクトやタスクの「山」と「谷」を見極めて無理のないように「均す」ようにダンドリをする。タスクが重なってしまったら、前後にずらす。その日のタスクが多すぎたら減らす、少なかったら増やす。一日の持ち時間をオーバーするほどのタスクが入ってきたら、すぐに優先順位の低いタスクのスケジュールを後にずらして調整してしまう。
タスクやプロジェクトは1つだけでなく、同時にいくつも並行して進めることが多い。複数のタスクの期限やスケジュールを重ねていくと必ず山や谷、ピークができる。先延ばしや先送りはできないので、前倒しにして平らにならしていくとムリなスケジュールではなくなる。
④時間の見積り・所要時間
ダンドリには、「作業時間の見積もり」を入れる。スケジュールには「タスクの所要時間」の概念を組み込んでおくとうまくいくことが多い。また、一日の持ち時間を「8時間」から「480分」というふうに分単位で考えると意識が大きく変わり時間を大切に使うようになる。
⑤バッファーをつくる
スケジュールには日単位、週単位、月単位で必ずバッファーを入れておくとうまくいくことが多い。
⑥トラブル・アクシデント対策
「トラブル」や「アクシデント」のための「時間のバッファー」をつくっておく。
⑦締め切り順に手をつける
タスクは「入ってきた順」「頼まれた順」ではなく、「しめきり順」にスタートすると良い。
⑧どうすればできるか・間に合うか
「スケジュール」「プロジェクト」「チーム」全体の効率化を目指すのであれば、「部分調和」ではなく「全体調和」を考えると良い。そして「間に合うか間に合わないか」ではなく、「どうすれば間に合うか」「間に合わせるためにはどうすればよいか」を考える。また「できるかできないか」ではなく「どうすればできるか」を考える。
⑨前倒し
プロジェクトやタスクは「前倒し」を心がけ、時間と心に「ゆとり」をつくる。できればタスクのスタートは早めに、1か月前にスタートする。また日常生活では、「出がけにやるべきこと」を一番先にやっておくと出がけに慌てないで済む。時間が足りなくなることもない。
8.実行準備をする。条件、リソース、ツールなどの確認、コミュニケーションの確認、リスクヘッジをし、用意周到・準備万端整える。
①ミスやトラブルの防止・予防
「ミスやトラブルの防止」の対策は、「あらかじめミスやトラブルの発生の可能性を少なくする仕組み」「ミスやトラブルを早期発見する仕組み」「発生したミスやトラブルに素早く対応する仕組み」の3つが大切である。
ダンドリを妨げる要因の多くは、「注意不足」「学習不足」「計画不足」「準備不足」「伝達不足」である。
よく知っている相手へのメール返信は、「相手の名前」「肩書」「会社名」「所属」を入れず自分だけ名乗って(状況により名乗らなくても良い)本題と結論だけ返すようにする。大量のメールをごく短時間でさばく場合は重要なメールにだけテマヒマをかけ、そのようにするとよい。
②「ヒト」コミュニケーションロス・ミス
仕事の上では、「いやな予感」はほぼあたる。それを防ぐには、「ほつれる前の一針」「念のための再確認」「よろしく!・・・の一言の声掛け」「一本の確認電話」「リマインドメール」「一枚のポストイット・メモ書き」を心がける。これらが味方になってくれる。
伝達ミスを起こりにくくするために、「音声」ではなく、「文字」「図」「絵」「数字」で伝えるとうまくいくことが多い。
「言った・言わない」「そんなこと知らない」「そんなつもりではなかった」「言ったことと違う」「聞き違い」「伝え忘れ」「いつ言った」などのトラブルをなくすためには、細かいことでも「メモ」「メール」など文字でやり取りすると良い。また、「言った・言わない」を避けるためには、共有メール、全員一斉送信メールでみんなを巻き込むと良い。共通認識、既成事実化、「みんなで決めた風」の動きをしてムダな議論を避けることができる。
「人と人の間に落ち込んでしまうタスク」は自分で拾う。拾わないと結局自分に返ってくる。
プロジェクトや相手との交渉では、自分のやりやすい場所、都合の良い場所に「アンカー」を打ち込む。
自分の思う落としどころに持っていくには、あらかじめこちらの都合で選択肢を提示して、相手の好きに選ばせるようなスタイルで進めるとうまくいくことが多い。「提案」や「選択肢」で相手に選ばせる形をとり、自分のダンドリ・想定の枠に落とし込む。相手も気持ち良く進められ、自分もテマヒマかけずに進められる。そしてみんな幸せになる。
たとえば、相手の返事をコントロールするには、「選択肢を絞って出す」「イエス・ノー」「どっちがいい?」「私はこれでOKなんだけど・・・」「これならやれるけど・・・どうする?」など最初に工夫して伝える。
「どうしたらいいですか」をやめて、「こうしましょうか」「この形でいかがでしょうか」など先手を打ってこちらから「決めて」しまうと早くスムーズに仕事が進む。
「日程をおさえておきました」「場所をおさえておきました」「人をおさえておきました」という形で「一手先」にこちらの都合の良い形で選択肢を狭め、相手を動かすとうまくいくことが多い。
知らないうちに相手やチームが動きやすい環境や仕組みをつくる。「(相手が)受け取りやすいパス」「選びやすい選択肢」「決めやすい答え」「YESと言いやすい質問」「やりやすいタスク」など、そしてそれらが自分が目指すゴールに自然と、知らないうちに(相手が)向かうようにつくっておくとうまくいく。
また、全体作業をみんなに予告し、あらかじめイメージを持たせることにより、モティベーションを保持させる。そして、相手に何か伝える時に、「なぜそれを伝えるのか」「なぜそれが必要なのか」「なぜそうしたいのか」などの理由を説明すると相手は納得しやすい。 さらに「そうするとどうなるか」までストーリーとして説明すると受け入れやすくなる。
期限、納期、アポイントなどは「具体的に」そして「明確に」相手に伝える。
誤解や行き違いのもととなるので、「なるべく早く~」を「いつまでに~」、「できるだけ~」を「どのくらいのレベルで~」、「今日中に~」を「何時までに~」というふうに、あいまいな言葉をさけ、具体的に期限や程度を相手に伝えると誤解が生じにくく、やり直しや督促も少なくなる。相手に仕事を依頼する時は、必ず期限を切って依頼するとトラブルを防ぐことができる。
他人に「常識」「あたりまえ」「ふつう」は通じないと考える。
相手にわかりやすく用件を伝えるには、口頭でも文書でも「箇条書き」で伝えると良い。一文が長くなると、「要点」や「つながり」が相手に伝わりにくくなる。そして本当に解決したいこと、本気で伝えたいことは、バーバルなコミュニケーションのメールだけでなく、声の調子や抑揚、表情の伝わるノンバーバルコミュニケーションを加えた形、つまり電話、できれば直接会って伝える。
「余計なこと」は言わない。感情のトラブルの原因となり、プロジェクトやタスクが滞ることなる。
メールチェックは「朝一番」と「午後一番」の2回だけする習慣であると公言しておくと良い。相手のメールは読むだけ読んでおいて、その時間にまとめて返しても相手は「待たされた感」が少なくて済み、時間を稼げる。また、メールは内容や書き方、送り方を工夫し「ストローク数」を徹底的に減らすようにする。できれば「一往復」で済ませる。そして、リマインドメールを送る時は、相手の「対応時間」「反応速度」「レスポンス感度」などを織り込んで、早目にリマインドをかけると良い。
「難しい案件」「複雑な案件」をうまく進めるには、「話のついで」に本題を入れて、さりげなく進めてしまう手法が功を奏する時がある。
相手の心に揺さぶりをかける時には、刑事コロンボ風に「追伸」「そういえば」「念のため」を武器にして相手の心にくさびを打ち込み、頭と心に大きな種をまいておく。やがて相手が勝手(自働的、自発的)に自爆する。
③「コト」条件・リソース
まず関係者をおさえる。「スケジュール」「行動パターン」「承認関係」など、あらかじめ関係者をおさえて仕事の段取りをする。そして、「悪い状況」や「悪い話」は、なるべく早めに共有してみんなで考える、決める、動く。「〇〇できない」と言わず、「〇〇ならできる」と言い換えて、こちらから先に条件設定してしまうとうまくいくことが多い。
④「情報」リファレンス
何度も参照する「リファレンス」は、常に手元に置いておき、一冊の「リファレンスファイル」にまとめてファイルしておく。A4リングファイルが使い勝手が良い。そして、タスクやプロジェクトでは「リファレンスファイル」を武器にする。スピードアップのカギはリファレンスファイルである。連絡先、会議スケジュール、締切一覧、予算一覧、行事日程、ID・パスワード、メンバーリスト、メールアドレスなど基本的なリファレンスをひとまとめにしておき、「片手で秒速リファレンス」のパフォーマンスができるようにしておく。
⑤「モノ」ツール
自分の手に馴染んだ道具を使う。私の七つ道具は、手帳(レフト型)、ミドリダイヤメモ、4色ボールペン+シャープペン、ポストイット、クリアホルダー、書類立て、マーカー。
毎日繰り返すルーティンワークは、次の時のために一度目の作業の時、手順、スケジュール、チェックリストを兼ねた「プロシージャ-シート」をつくる。
受信メールボックスを「簡易タスクリスト」として使う。そして、予定、リマインド、アポイントなど忘れてはいけないタスクを自分にメールを送り、受信トレイをタスクリスト代わりにする。
「仕事は紙でさばく」だから「紙をさばく」。デジタルは便利ではあるが、たどり着くまでのストローク数、つまり工程数が多くなる。また、人間の機能限界から、視認性や一覧性などの観点でも、現状では仕事は基本紙でさばくことが肝要である。紙をさばくには、マーカー、ステープラー、クリアホルダーなどを適切に駆使して、「一元化」「簡略化」「迅速化」を進めることが大切である。
⑥雑音除去
「チリ」は積もれば「ホコリ」となり、やがて「大きなゴミの山」となる。「小さなタスク」や「気になる些細なこと」「わからないこと」などは、「チリ」や「ホコリ」のうちに片づける。
「問題点」「課題」「ボトルネック」「障害物」「キーマン」を見つけ、早目に解決するようダンドリを進める。
⑦ムリなことをしない・やらない
ムリなことを「ムリして」引き受けない。「できないこと」は安易に引き受けない。あとで迷惑をかけることになる。「ムリなことはムリ」と言い切る。「できないことはできない」と言い切る。
9.タスクの実行をする。モレダブリ、先のばし、中断、時間泥棒、ロスタイムなどに注意する。メンタルワークロード、ワーキングメモリーの負担を減らす。
①二度手間、モレダブリ
メールや書類を「二度読み」しない。その時間を無駄にしない。
②先のばし
「小さなタスク」でも溜めてしまうとやがて「大きな足かせ」となり、自分の首を絞めることになるので、溜めずにこまめにやってしまうと良い。
「仕事の先送り」は時限爆弾をベルトコンベアに投げているようなものである。いずれ自分のところに戻ってくる。しかもどんどん締め切りのサイクルが短くなり、どんどんタスクの数が増え、精神的な負荷やストレスも増大する。
先送りの原因になるので「知らないこと」や「わからないこと」はそのまま放置せずにすぐに調べる。
③中断
定時を目指すならタスクを中断しない・手を休めない。一度中断するとまたそのスピードや集中力が戻るまでに時間とエネルギーが必要となる。
④時間泥棒
ヒトと関わること、ヒトとのコミュニケーションから「時間を奪われる要素」が発生することが多い。
「モノ探し」や「モノの準備」「モノのメンテナンス」「モノの調査」などに多くの時間がかかる場合が多い。モノを探さなくて済むシステムをつくる。モノを減らす、整理整頓をする、アイテムを絞る、紙を重ねない、紙の上に紙を置かない、紙は立てて置く。
⑤ロスタイム、待ち、手詰まり
「ヒト待ち」「モノ待ち」「コト待ち」のロスタイムをなくす。
アイドルタイムを短くするには、「考えすぎない」「悩まない」「一歩だけ進む」「ちょっとだけ手をつける」「とりあえず返事をする」「やる日を決める」「プリントアウトしてタスクメモをつくる」「その場でけりをつける」「その場で確認する」「すぐ調べる」「アウトプットをイメージする」などを心がけると良い。
わからないことがあったら、「わかる人」「知っている人」に聴く。わからない自分がいくら時間をかけてもゴールにたどり着かず、目的を果たすことはできない。
なるべく自分の手元にボールを持たないようにする。ボールを持っている時間を短くする。
⑥メンタルワークロード、ワーキングメモリー
作業の前に頭と心を空っぽにして不安や疑問、雑音を追い出し、ワーキングメモリを解放する。
余計な資料やデータは雑音になるので、なるべく持たないようにする。
頭と心の負荷を減らすためには、とにかく「覚えない」ことが大切。メモ、アラーム、タイマー、リファレンス、マニュアル、リマインダー、スケジュール表、メール、共有システム・・・など様々な仕組みやアイテムを使って「頭と心の負荷」を軽減する。
雑音が入らないように、今日やることだけを書いた「今日のタスクリスト」を作成し、それだけに集中するようにして他のことは考えないようにする。その代わり、明日に延ばしたり先送りは絶対しない。
タスク遂行においては「感情」を入れない。
やみくもに選択肢を増やすと選択すること自体にテマヒマがかかり、ストレスになるので増やしすぎないようにし、適正な数にするよう心がける。
あまり多くのことを意識すると、頭のワーキングメモリが一杯になり、気が散ってしまうので、「今日のタスクのメインディッシュ」は3つまで、サブタスクも入れてせいぜい5つまでにしておく。
「気になること」特に「やり残したこと」は、その「やってない後ろめたさ」から頭の中、心の中から決して消えることがない。時間が経っても居座り続ける。はっきり「やらない」と決めるか、思い切ってやってしまうか選択した方が良い。
要らないものはデスクに置くと、「目のジャマ(気が散る)」「手のジャマ(探しものが増える)」「頭のジャマ(余計な雑念が増える)」ので、デスクに置かない。
「今入ってきたタスク」や「目の前のタスク」にすぐ飛びつかず、優先順位と処理日時をきめてしまうとうまくいくことが多い。
「割り込みタスク」は「やらない」「減らす」「先延ばしする」「捨てる」「小さくする」「先送りする」「断る」。
「投げられたタスク」には、先に自分から期日を設定してしまうと振り回されずに済む。「投げるタスク」はなるべく早く相手に投げて、自分の手から放す。「パスする相手のいるタスク」は「即パス」「速パス」を心がける。「ささいなこと」こそ溜めずに早めに「手離れ」させる。
⑦ルールにこだわらないやり方
プロジェクトにおいては、「やり方」「道筋」にこだわらない。「期限までに」「必要十分なクオリティで」ゴールにたどり着きさえすればそれでよいと考える。
10.トラブルシューティング・アクシデント・ミス・エラー対応をする。
①突発的なアクシデントや相手とのトラブル、自分たちのミス・エラーなどがある。
②まず起こっていることの状況をよく見て、原因を見極める。
③水が漏れているのであれば元栓を締める。火が出ているのであれば燃えている原因を断つ。
④慌てて動かず、トータルで被害を最小限に食い止めるかを考える。
⑤条件やリソースを考え、「今、打てる手」の選択肢を考える。
⑥適切な選択肢を迷わず決定し、すぐに行動に起こす。
⑦効果・様子・状況を確認・検証して次の手を考える。
⑧収束するまでこれらをくり返す。
11.品質確認・出来ばえをチェックする。
相手から求められた品質、自分で設定した出来ばえに必要十分か確認・チェックし、過不足のないよう整え、仕上げる。さらにプロは自分の目、自分の基準で納得のいくものに仕上げる。
12.納品・対応終了・タスク完了・プロジェクト完遂・目的達成・ゴール到着・目標到達・ 作品完成
そして納品、完成、ゴールに到着してミッションコンプリートとなる。ここまで気を抜かない、そして手を抜かない。
おわりに
この小冊子では、ダンドリの基本的な理解、ミスター定時の人生哲学、基本的な時間の性質、実践テクニックなどについてまとめましたが、何か参考になることがあれば幸いです。
引き続きホームページhttp://www.atsuya-iwashita.jp/やブログ、SNSなどでも様々な記事やアイディアを発信していきますので、ぜひお役立てください。
岩下敦哉
『ミスター定時のダンドリ時間術』岩下敦哉著 より引用