家族との時間は今しかない
3.家族との時間は今しかない
なぜ私が家族との時間にこだわるのか、それは「今」しかないからです。
人それぞれいろいろな考え方がありますので、軽い気持ちで聞いてください。
人は生まれてから日々成長し、歳を重ねていきます。
生まれたばかりの赤ちゃんから、幼児、子ども、少年、青年、大人、親、そして老人となるまで毎日少しずつ歳を重ねていきます。
「またあたりまえのことを言っている」と思うかもしれませんが、じつはこれは「すごいこと」なのです。
人が毎日歳を重ねながら生き続けていくこと自体「すごいこと」なのですが、それ以上に、「家族として出会い」「共に暮らし」「同じ時を過ごしていること」がすごいのです。
自分はたまたま両親のもとに生を受け、大切に育てられ、兄弟姉妹がいる人はまたそこで出会い、大人になって一生のパートナーと家族になる約束をします。そしてそこに子どもが生まれ、自分は親となり子どもを育てていきます。自分の両親やパートナーの両親は祖父母となり一緒に子どもを育てます。
たまたま「ある時」「ある家」に生まれ、家族と出会い、一緒の時を過ごすのです。なんて運命的な出会いなのでしょうか。そして日々の楽しみ、悲しみ、苦しみ、喜びなどを共有し、同じ時間と空間を過ごすのです。このことだけでも「すごいこと」だと思いませんか。
ですから、まずこの運命的な出会いを大切にしましょう。
また、その家族も刻一刻と歳を重ねているのです。同じ日は二度とありません。子どもはすぐに大きくなります。大人は「あっという間」に歳をとります。つまり家族の時間には「今」しかないのです。
たとえば子どもが小さいときはみんな一緒に旅行に行っていたけれど、大きくなったら、勉強や習い事、クラブ活動や友人との約束などの予定が入り、なかなかみんなの予定が合わないということはよくあります。とにかく「今」を楽しむしかないのです。それこそ「ワンチャンス」だと思ってください。
また、自分が子どもの頃や若い頃反発していた両親が歳をとり、「老い」を感じるようになったとき、自分も子育ての真っ最中でしょう。子育てをしてみて、本当にはじめて親のありがたみがわかります。そして感謝の気持ちとともに、これから先、自分が両親に何をしてあげられるかを考えるのです。
そう思ったら、そのときすぐに動かなければなりません。電話1本、手紙やメール1通でよいのです。「今何してた」「元気にしてる」「今日何食べた」だけでもよいのです。「今、つながる」ことが家族には大事なのです。
過ぎてしまった時間は戻ってきませんが、家族との「今」を積み重ねていった結果が「想い出」になるのです。
ですから「今」を積み重ねていかなかった家族には「想い出」がありません。家族の「今」を1ページずつ積み重ねていくと「家族の想い出の本」ができあがります。そう考えると、白紙のページを重ねたくないですよね。
もう一度言います。家族の時間には「今」しかありません。そう心に刻んで家族一人ひとりの顔を見つめて「にっこり」してみてください。きっと幸せを感じます。
『人生を豊かに生きるための7つのトリセツ』セルバ出版 岩下敦哉著 より引用