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時間術だけではなぜうまくいかないのか

時間術だけではなぜうまくいかないのか

誰もが失敗している時間術 

- なぜ時間術だけでは失敗するのか…3つの理由 -

これからあなたに3つの質問をします。

「ああ、時間がない、もっと時間があったらなぁ」「もっと時間を上手に使えたらいろいろなことがうまくいくのになぁ」と思ったことはありませんか。

そして、「じゃあ、時間術やタイムマネジメント、ライフハックの本や雑誌、ブログを読んでみよう」と読みあさったことはありませんか。

それで結局「やってみたけど全然うまくいかない、自分には向いてないのかも知れない」とあきらめてしまったことはありませんか。

きっと一度や二度経験があるのではないでしょうか。

そんなあなたにお伝えしたいことをこの本に書きました。私も以前は時間の使い方について同じようにあれこれ悩み、試行錯誤をくり返していました。「能率」「効率」「時短」・・・、本や雑誌、インターネット情報などを読みあさり、手当たり次第やってみました。でも、なかなか効果があがりませんでした。

そしてある時ふと思い浮かんだ疑問がありました。それは、「自分は何のために時間を使いたいんだろう」という単純な疑問です。単純なのですがなかなかその答えが見つかりませんでした。考えるたびに「○○のため」「○○したいから」「○○になりたいから」・・・といろいろ出てくるのですが、「じゃあ、それは何のため」とくり返し自問自答をしていくと、結局「???」となってしまいました。

そのうち、落ち着いてじっくり自分の心に素直に向き合いながら考えていくと、

①好きなこと、やりたいことをする時間を持ちたい

②家族(大切な人)との時間を持ちたい

③ゆったりとした気持ちになる、ゆとりの時間を持ちたい

という3つの想いにたどり着いたのです。

そしてその時「ああ、結局自分はこういうことがしたいんだ」「こういうふうに過ごしたいんだ」ということに気づくと同時に、自分の「ゴール」や「想い」を強く意識するようになりました。

そして、それまで小手先のワザやテクニックだけに頼って「能率」「効率」「時短」などとあれこれやっていた自分が少し滑稽に思えてきました。

あなたはどうでしょうか。少しの時間、自分の心の中に深く問いかけてみてください。私と共通点はありませんか。共感していただけることはありませんか。もし何か思いあたったらこのまま読みすすめてみてください。きっといろいろな「気づき」や「ヒント」が見つかると思います。

「本当の自分は何をしたいと想っているのか・・・」

「はっきりとしたゴール」や「強い想い」を持っていないから

なぜ時間術だけでは失敗するのでしょうか。

それは「時間があったら何がしたいか」そして「何のためにしたいのか」が明確でないからです。

つまり、「はっきりとしたゴール」や「強い想い」が見えていないから流されてしまうのです。そして小手先の「ワザ」や「テクニック」だけに頼るから成果があがらないのです。

まず「はっきりとしたゴール」を決めないとどこに向かってよいかわかりません。

あたりまえすぎて「ゴールを決めないで動き出すわけない」と思うかも知れませんが、普段私たちはよくこのようなことをしてしまいます。あなたにも経験がありませんか。もっとも多いのが「語学」「勉強」「トレーニング」です。「まわりがやっているから」「何かよさそうな気がする」「やった方がよいかな」といった「なんとなく」の気持ちで始めてしまうと三日坊主で終わってしまいます。「何がしたいのか」しっかり「自分ごと」としてゴールを決めましょう。

 また「何のためにしたいか」という「強い想い」が重要です。

たとえば、同じ「旅行に行く」という行動でも、その時々で「想い」が違うことがあります。先ほどの「私の本当の3つの気持ち」をあてはめてみると、いずれも「旅行に行く」という行動につながるのですが、「何のため」ということを考えるとその「想い」が違う場合があるということに気づくと思います。

自分の「好きなこと、やりたいことをする時間を持ちたい」のか、「家族(大切な人)との時間を持ちたい」のか、「ゆったりとした気持ちになる、ゆとりの時間を持ちたい」のかにより、計画やダンドリが変わってくるのです。このうち今回の旅行はどういう「想い」で行くのか、それを強く持ちましょう。

「〇〇術」は単なるワザ

そして、「時間術」というのは、単にその間をつないでいく手段、方法、技術なのです。いろいろなワザ、テクニック、方法論、ツールがありますが、結論としてはどれを選んでもよく、その中から自分に合ったものを選べばよいのです。

ただ「ワザ」や「テクニック」に頼るだけでは失敗します。つまり単に「時間を節約する」「時間をつくる」「時間を上手に使う」だけでは「ゴール」も「想い」もないので、その時間を使って「何がしたいか」「何のためにするのか」をきちんと考えることが大切です。

また時間術それ自体が目的化しないように気をつけなければいけません。そして時間術を使ったことだけで満足してはいけません。

私たちは、「時間をうまく使うために生きている」のではありません。

いくら本やマニュアルを読んで時間をうまく使うことを覚えても、そのこと自体を目的やゴールにしているのでは本末転倒です。自分の本当のゴールをしっかり見きわめましょう。

もう一度言います。「楽しくよりよく生きる」ために「時間を使う」のであって、「時間をうまく使うため」に「生きている」のではないのです。

じつは、時間術以外の他のライフハックスの分野でも同じようなことが言えるのです。

いくつか例をあげてみると、

「モノと道具の使い方術」では、モノや道具は単に持っているだけでは意味がなく、それを使って何かを成し遂げるために道具を使うのです。

「片付け・整理術」では、単に片付けたり捨てたり整理するだけでは意味がなく、モノを使いやすく、そして生活しやすくするためにします。

「人づきあい術・人脈術」では、ただやみくもに名刺をたくさん集めるだけ、ブログやSNSで知り合いを増やすだけでは意味がなく、それを人生に活かし、お互いを豊かにすることが大切です。

「読書術」では、単に本をたくさん読むだけではなく、読んだ本をどう自分の人生に活かしていくかが大切です。

「勉強術」では、ただ勉強して何かを覚えるだけではなく、どう次の知恵につなげていくかが大切です。

 このように、「ゴール」や「想い」がなく、ただワザやテクニックに頼ると、時間術は失敗に終わります。

やることが多すぎて小手先のワザでは歯が立たない

時間術がうまくいかないもう1つの原因は「やることが多い」ことです。

今のあなたは「とにかくやることが多い」のです。

「毎日バタバタしていて、時間術を使って「睡眠を減らしても」「スキマ時間を有効活用しても」「デジタルツールを活用しても」「手帳を色分けしても」なかなか楽にならない、仕事が忙しいから家に帰ったらもうヘトヘトで家のことをやっているヒマがない、散らかし放題でましてや自分の時間なんて持てない、という状態におちいっていませんか。

それなら一番大きな「仕事」を減らしましょう。

「そんなことできるわけない」「納期もあるし、責任もあるし、相手もあることだから」と思いますよね。

でも本当にそうなのでしょうか。本当に1つ残らず全部やらなければいけないのでしょうか。

まずそこを疑ってみてください。中にはやらなくてよいこともあるのではないでしょうか。

確かに今の状況であれば、とにかく相手するタスクが多すぎて、どんなにすごい時間術のワザや便利なツールを使ってとしても「焼け石に水」、むしろ慣れないワザやツールに「余計なテマヒマ」がかかるのではないでしょうか。これではうまくいきません。

 「千手観音を相手に百人組手をする」ようなものです。小手先のワザでは防戦一方でうまくいきません。ですから、まず「タスク」自体を減らすことを考えましょう。

行動が習慣化されていないので長続きせず、成果につながらない

そして時間術にとってもっとも手強いのが「習慣化」するまでの道のりです。心理学や行動学では、人は3週間(約20日間)同じ行動をくり返すと習慣化されると言われていますが、なかなかそれが難しく、習慣化するまでに失敗することが多いのです。

ほとんどの人が「三日坊主」だったり、1週間か10日ぐらいで挫折してしまいます。私もそうですが、新しい習慣はなかなか定着しません。

これはあたりまえのことで、人間の心理的特徴や行動パターンはみんなほぼ同じですから、普通に始めたら習慣として身に着かないものなのです。だから成果につながらないのです。

いつも真正面から「語学」「勉強」「トレーニング」などに取り組み始めて、すぐ挫折するのは誰でも経験があります。あなただけ特別ではないのです。

これに対抗するには「続けるための仕組みづくり」です。仕組みを使って習慣化するのが最も近道です。

仕組みは、「自働化」「パターン化」「ツール」の組み合わせで、あれこれ考えなくてもすぐ動けるワザです。簡単でわかりやすいものから始め、いずれ自分の「ライフスタイル」になるまで定着させれば大成功です。とにかく楽に続けられるようにしていきましょう。

また、「途中で時間泥棒のようなジャマが入る」「自分の中でモティベーションが上がらないから続かない」という話もよく聞きますが、行動の習慣化をジャマする時間泥棒退治や先延ばしぐせ退治なども仕組みの力を使って乗り切りましょう。

結論として、時間を使って豊かで幸せな自分時間を過ごすためには、

①自分に問いかけて「ゴール」や「想い」をしっかり持つこと。

②「やること」「やらないこと」を決め、とにかく「やること」を減らすこと。

③仕組みを使って行動を習慣化すること。

ですので、まずそこから始めましょう。そのための前段階の準備として、

①時間の性質をとらえること。

②時間の使い方を考えること。

③(人間の心理学的、行動学的特性をふまえて)具体的な仕組みをつくって行動する

ということ。

が近道だと思います。

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