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自分を見失わない、自分中心でコトを進める、忙殺されないために

自分を見失わない、自分中心でコトを進める、忙殺されないために

一口に「コト」と言っても、イメージしにくいと思いますが、「自分でやるコト」「ヒトとやるコト」そしてそれらを全体的に統括するための「ダンドリ」、事前に行う「リスクマネジメント」と事後に行う「トラブルシューティング」のことだと思ってください。

 こんなことを感じたことはありませんか。

①やるコトが多すぎる。

②いつも時間が足りない。

③やるコトをつい先延ばししてしまう。

④自分にとって意味のないコトが多すぎる。

⑤気になるコト、頭と心の雑音が多い。

⑥二度手間が多い。

⑦時間がなくて焦ってしまうことが多い。

⑧やりたくないコトが多い。

⑨ついムダなコトをしてしまう。

⑩気がついたら締切期限間際になっている。

⑪あれこれ考えてしまってなかなか取りかかれない。

⑫使うときにモノや道具が見つからない。

⑬途中で作業のスピードや効率が下がる。

⑭時間泥棒が多く、邪魔される。

⑮アポイントが断れない。

⑯ダンドリが下手である。

⑰いつもあせる、あわてる、パニックになる。

⑱いつもゆとりがない。

 

1.タスク(自分でやること) 自分との約束

「自分でやるコト」タスクのさばき方(夏休みの宿題)

「タスク」とは「自分との約束」です。

どういうことかというと、「夏休みの宿題」を思い浮かべてみてください。お天気表、漢字練習帳、計算ドリル、絵日記、朝顔の観察、読書感想文、「夏休みの想い出」作文、自由研究など多くの宿題・課題があり、自分でいつ、何を、どのくらいやるのかを決めて取り掛かるものです。(親が決めてしまう場合もあるかもしれません)

夏休み中であればいつやってもいいのですが、9月1日という提出日が決まっていて、8月31日にあわてて間に合わせる人もいます。

このようにある程度自分の裁量で動かすことはできますが、いくつかの種類やある程度の量があり、納期が決まっているので、いつ、何を、どれだけやるかを自分で決め、「自分との約束」として夏休みの予定表などでコントロールするのが「タスク」です。

いつも時間に追われている人は、このタスクのさばき方が苦手なタイプでしょう。

実はこの「自分で決める」というのがとてもやっかいなのです。

タスクのタイムロック

「タスク」の厄介なところは、大部分を自分で決めることができることです。夏休みの宿題と同じです。課題と提出日は決められていますが、「いつやってもいい」「どのぐらいのできばえでやってもいい」という「ゆるい」しばりなので、ついつい先延ばしになってしまいがちです。いわば『自分との約束なので「反故」になりやすい』という性質をもっています。

 どういうことかというと、タスクは「自分との約束」なので、つい「先延ばしぐせ」や「さぼりぐせ」がおこります。なぜなら強制力、つまり言ってくれる人がいないからです。また何をどのぐらいすればよいのかわからず、タスクも一度に終わらないので、何となくやる気が起こらず、手をつけなくなってしまいがちです。そしてやろうと思った時に、自分の中で「まだ時間はたっぷりあるので、あとでもいいや」という気持ちになってしまいます。

これを防ぐには、その「自分との約束」を「目に見える形でタイムロックをかけてしまう」しかありません。

そこで、簡単な3ステップで「タスク」をさばくコツ・方法をお教えします。

①まず、3つのラインを決めます。

3つのラインとは「スタートライン」「(マイ)エンドライン」「デットライン」です。

スタートラインはそのタスクをいつから手をつけるかを指します。少し眺めるだけでもいいので、「手に取る」という行動をする日を決めます。

 そして、(マイ)エンドラインは、いつまでに形にするかを決めてしまいます。音楽の拍と一緒でこの2つの点が決まるとテンポと拍子とリズムが生まれてきます。

最後にデッドラインは、提出日前日です。ここまでに修正も含めて完成しているというラインです。

この3つのラインを決めたらすぐに青色ボールペンで手帳に書き込みます。

②次にタスクをよく見て、「一口サイズ」にカットします。(サラミアプローチ、鯨を食べる方法)

そのままでは、手におえないタスクですが、量や質をよく考えて「小さく」「手におえる」タスクに切り分けてしまいます。それをタスクリストに順番にならべて、先のスタートラインからデッドラインまでの間の期間で手帳にそれぞれ書き込んでいきます。他のスケジュールと見比べながらだいたいの形でよいので、手帳に青色のボールペンでどんどん書きこんでしまいます。

③そして最後に、手帳に書いてある「タスクの日」が来たら、朝一番で手をつけます。

 大切なのは、あれこれ考えず、その日が来たら必ず手をつけるということです。

 やり始めると、思ったよりできてしまうもので、あっという間に終わってしまうこともあります。とにかくやることです。

もしほかの予定との関係や作業の進行状況で終わらなければ、残った分を次のタスクの日までの間にスケジュールとして手帳にすぐ書き込みます。

 ただこれだけのことなのですが、実践してみると、「夏休みの8月31日問題」はかなりの確率で解決されます。

このほか具体的な「タスク」のさばき方にはいろいろなものがあります。その性質に合わせて仕組みをつくって乗り切る方法をご紹介します。

やること(相手の数)を減らし、すっきりさせる

結論から言えば、「全体の時間は決まっているのだからやることの方を減らせばよい」のです。

つまり「やらないこと」を決めて「やること」を減らす、覚悟をもって「決めること」です。

全体的な説明としては「自分や相手とのゴールが共有できていて、作業全体のやることが見えていて、それに対するダンドリ、準備ができていれば、自然と何をやり、何をやめるか、必要十分なタスクが見えてきます。要はそれを順に淡々とこなしていけばよいのです。そうすれば、やるべきことだけが手元に残り、やらなくてよいことはやらなくなるので、時間がムダに使われることはありません。」という説明になります。

これではまわりくどいので、今述べたことを「目的地までの移動」に置き換えてみます。

Ⓐどこへ行くか、つまり目的地がわかっていること。

あたりまえだと思うかも知れませんが、作業をすすめるとき、そこをあいまいにしてはじめてしまう人が多いのです。

Ⓑ次に地図で現在地と目的地の位置関係がわかっていること。

目的地はわかっていても、今自分がいる場所からの距離や方角、地形などがわかっていないと、どんな交通手段で行くのか、どのくらい時間をかけるか、どのくらいのコストがかかるかなどがわかりません。空から地図を俯瞰するように作業全体を見渡すことが大切です。

Ⓒそして、どうやっていくのか、ということを考えます。

電車なのか、飛行機なのか、自動車なのか、かかる時間やコスト、体力などを考えつつ、どうするかを決めていきます。そのためのチケット手配や宿の予約、時刻表や料金表などもチェックが必要です。

このように、あらかじめゴールと全体像をとらえて考えておけば、自然とやること、持ち物、準備が見えてきます。そして「やるべきこと」「やらなくてよいこと」を判断することができます。そのうえで「やること」を最小限にすれば、時間をムダなく使っていくことができるようになります。

「やることを減らす」にはまずここをおさえておかなければいけません。何でもかんでもやみくもに「タスク」を減らしていったのでは、決して「ゴール」にはたどりつけません。

 前提としてそれだけ理解したら実践にはいりたいと思います。

タスクを減らす具体的な手順

では、実際に私がやっている日常のワークの中の具体的な手順をお話しします。

Ⓐ「タスクの洗い出し」 様々な形で入ってくるタスクをすべて書き出す(一元化)。

Ⓑ「タスクの選別」 ゴールを確認し、自分のリソースと照らしながら「やること」「やらないこと」を決める。

Ⓒ「タスクリストの作成」 重要性や期日を見ながらタスクリストを作成する。

という3つの手順ですすめていきます。

少し細かく説明すると、まずは、「タスクの洗い出し」です。私たちの「ワーク」の中では常に「タスク」が流入してきます。形は大小様々ですが、書類、メール、電話、ファックス、郵便、メモ、口頭などの形で入ってきます。私はすべてA4の紙にしてしまいます。

 書類はA4が多いのですが、大きさが違えばA4にコピーして大きさをそろえます。メールはプリントアウト、電話、メモ、口頭のものはA4の紙にメモ用紙をステープラーで固定します。

 それを一件一葉、つまり一件ずつ別の紙を使って書き込み、タスクを洗い出します。そして中身が見えるようクリアファイルに一件ずつはさみ込んでおきます。

 これで前段階の準備は終わりです。

 次に、タスクを選別します。一件ずつそのタスクのゴール(目的や品質、納期、諸条件など)を確認し、「やらないこと」「他の人や部署にまかせること」「やること」を決断します。この時ついでに納期やアポイントのところにマーカーをひいたり、ポストイットで注意メモをつけたりして、二度手間を省きます。

 そして最後に、タスクリストの作成です。重要性や期日を見ながらエクセルに簡単なタスクリストを作成します。エクセルで作成すると、途中につけ加えたり、並び替えができるので私はこれを使っています。

これだけでやることが大きく減ります。

やらないことを決める

 特に大切なのは、『「やらないこと」を決めること』と『「他の人や部署にまかせること」を素早く決断すること』です。依頼や調査などの厚い書類でも、自分は対象外だったり、不要だったりして「やらない」と決めれば即座に目の前からなくなるものがあります。あるいは、誰かに依頼しないとできないものは、なるべく早く相手に渡して自分の手もとからタスクを消してしまうようにすると、すっきりします。

 ここで大切なのは、一度手に取った書類を二度見ないことです。一度目を通して「ああ、こんな感じか」と机に置いてしまうではなく、「やること」「やらないこと」「他の人や部署にまかせること」を即断即決し、次の流れにのせてしまいましょう。二度も書類に目を通す時間が大きなロスタイムになります。

 また、「5分以内に終わるタスク」「考えなくてもすぐできて終わってしまうタスク」はリスト化するまでもなく、その場で終えてしまい、永久に忘れてしまいましょう。また、相手するタスクの数が減るので精神的にも楽になります。

そのほか「慣習」「慣例」「形式的」「重複」「不要」「過剰」「目的外」のタスクはやめるようにしましょう。

こうして「やる」と決めたことだけを手もとに残します。

やることを先延ばしせず、すぐ取りかかる

やることを先延ばしせず、すぐ取りかかるために私がしているのは、「手帳のとおりに行動し始める」という仕組みです。

 ほとんどの人は、手帳には「アポイント」だけを書き込んでいますが、私はこの「人との約束」である「アポイント」を赤色ボールペンで、「自分との約束」である「タスク」を青色ボールペンで書き込んでいます。このほか、職場全体の行事を黒色ボールペン、家族やプライベートの用事を緑色ボールペンで書いています。

 先のタスクリストの案件をいつやるか決めて、自分との約束として手帳にタイムロックをかけてしまいます。あらかじめ予定されていることなので、時間がきたら「自働的に」始めればよいのです。会議や打ち合わせと一緒です。たったこれだけのことなのですが、うまくいきます。

 そのとき「先延ばしぐせ」が出ないように注意しなければならないのは、「今すぐ動くこと」「小さく動くこと」「気持ちを楽に持つこと」です。これさえ気をつければ、手帳の予定にそってタスクをすすめることができ、あっという間に終わってしまいます。

 逆に言えば、手帳にタスクを書くときに「プレッシャーにならないような小さなタスクに切りわけて、すぐできそうな形にしてから書き込むようにする」ということが肝要です。

 「そんなことは誰にでもわかっている」と言われそうですが、なかなかできないのも事実です。ではなぜ「先延ばし」してしまうのでしょうか。

先延ばしの原因

 おもな原因は「ゴールが見えていない」「どうすればよいか道すじがわからない」「なんとなく気が乗らない」「タスクが見えてないから不安」「そのこと自体が嫌い」という5つのことです。

 対処法は「途中でやめてもよいのでまず少しだけ動く」「手におえる大きさ・形にしてしまう(サラミアプローチ)」「いつやるかやる日を決めて手帳に書く」「朝、1日のはじめにやってしまう」「苦手意識を持たない(そんなものだと思う)」「下調べをする(見えないから不安、実体が見えればお化けも怖くない)」「ルーチンワークは時間割法で考えずに作業を始められる(毎日決まった時間になったら始める習慣)」というのが効果的です。

 そして先延ばしせずにすぐとりかかると「早く始めればそれだけ早く進み、早く終わる」「トラブルに対応しやすい」「気持ちが楽になる」という大きな3つのメリットがあります。

「先延ばし」は時間の借金です。ものごとを先延ばししても、いずれはやらなければなりません。今できることを後回しにするのは時間を借金しているのと同じです。時間が進むにつれ、どんどんやることが増えていき、ゆとりがなくなるので、利息が雪だるま式に増えていくように精神的な負荷がどんどん増えていきます。そして結局デッドラインになってクオリティの低い仕事をアウトプットすることになります。それならできるだけ早くやってしまいましょう。

 また、ものごとを後回しにしても、結局かかる時間は同じです。そしていずれはやらなければならないのです。それならば、手持ちの作業を1つでも減らして身軽になってしまいましょう。

精神的なプレッシャーからも解放され、楽に生きられます。そして「後ろめたさ」からも解放されます。

頭と心の雑音を減らしてすっきりさせる

 せっかく先延ばしをせず始めることができて作業状態に入っても、「やっているけど遅い」という状態におちいることがあります。気になることに頭や心が向いてしまったり、あれこれと考えているうちに集中できなくなり、ムラができ効率が下がるのです。

「頭と心の雑音」とは、簡単に言うと「気になること」のことです。

 私がよく気になるのは「頭や心の中にわいてくるもやもやした考え」「いずれやらなければいけないのにまだやっていないこと」「よくわからないこと、わかりたいこと」「この先の予定」「約束の時間」などです。

 「頭や心の中にわいてくるもやもやした考え」は紙に書き出して目に見えるようにします。つまり「顕在化」するのです。

 人間は常にいろいろなことを考えています。外からの刺激や体内の感覚などをきっかけにつぎつぎと考えがわいてくるのです。

 普段はどんどん「浮かんでは消え、浮かんでは消え」と流してしまえるのですが、少しでも気になったり引っかかったりすると、頭の中でリピート、リフレインしているうちにだんだん増殖、増大し大きくなっていきます。特に不安や心配なことであるとなおさらです。よく「不安には実体がない、お化けのようなものだ」と言いますが、そのとおりで、これらのもやもやした考えにはほとんど実体がないのです。

 もし大きくなって消えないもやもやがあったら、紙に書き出して間接的に実体を見てしまいましょう。顕在化することにより、「なんだ、たいしたことない」「どうでもよいことだ」と思って昇華できることが多いのです。

 もしできないのであれば、「解決すべき課題」として「タスク化」してしまいましょう。

いずれにしても紙に書き出すことです。そのためには「メモ」と「ペン」をいつでも手に届くところに常備しておきましょう。ポケット、カバン、デスク、テーブル、玄関、トイレ、キッチン、洗面所、テレビ台、電話台、寝室、居間など。

次に、「いずれやらなければいけないのにまだやっていないこと」です。これはとても気になります。なぜなら先延ばししている「罪悪感」と「プレッシャー」があるからです。『どんなに言葉巧みな詐欺師でも自分に嘘はつけません。』

いつも頭にこびりついていて、時には形を変えて夢にまで出てくることもあります。決してなくなることはありませんし、消えることもないのでやっかいです。

これを解決するには「タスクリストに入れてしまって終わらせる」しかないのです。ある意味簡単なことなのですが、日常的に先延ばししてしまっていつまでも「もやもやしたままの案件」が多いのではないでしょうか。

そして「よくわからないこと、わかりたいこと」は「今すぐわからなくてもよいのだけれど・・・」ということで先延ばししがちですが、人間の根幹にある「好奇心」に基づくものなので、もやもやしたまま決して消えることがありません。「わからない」ということだけでも「もやもやしている」ところに「わかりたい」という気持ちが加わるので、先に延ばせば延ばすほど「やっぱりわかりたい」という気持ちが大きくなります。

それであれば、今すぐ調べてすっきりしてしまいましょう。

私は子どもの頃からこういう時には図書館や本屋に行って調べていました。「明日までには絶対わかっていたい」という気持ちで即行動しました。今はインターネットでも簡易的に調べることができるので、より簡単に解決できます。ですからすぐに調べて解決してしまいましょう。ただし情報が「玉石混交」ですのでくれぐれも注意しましょう。

「この先の予定」と「約束の時間」

そして別の意味で気になるのが「この先の予定」と「約束の時間」です。

この2つは「忘れてはいけない」ということで頭の片すみにいつも居すわるものです。

対処法は簡単で、手帳や時計などの「時間ツール」にまかせるということです。「いつ何があってどうする」といったことをいちいちすべて記憶していたら、頭のキャパシティがいくらあっても足りません。すべて一冊の手帳に書き込んでしまい、時計やアラーム、タイマーなどのリマインダーを使って、その時刻や時間をコントロールしましょう。そのために紙の手帳に一元化することが大切です。

いずれにしても、これら「時間ツール」にまかせて「その日、その時」まで頭や心の中をすっきりさせてしまいましょう。

あわせてデスクまわりもすっきりさせておくと効果的です。

「タスク」を自働化、習慣化し、あれこれ考えなくてもすぐに取りかかれるようにする

 とにかく取りかかるまでの時間を短くし、素早いスタートを切るには「考えないこと」です。私は考えなくてもよいほど簡単な仕組みを使って「タスク」をさばいています。道具もどこにでもあるものなのですぐに始められます。一度ためしてみてください。

 用意するものは、

 Ⓐ1日から31日までのラベルを貼った  31枚のクリアファイル。

 Ⓑ4月から3月(年度単位で使う)までのラベルを貼った12枚のクリアファイル。

 Ⓒ「INBOX」「31DAY」「TODAY」「WAIT」のラベルを貼った立てる4つのファイルボックス。

です。

Ⓐ先ほどの「タスク」の準備のところでお話ししたように、仕分けした「タスク」を一件一葉でクリアファイルに入れておきます。そして「INBOX」に立てておきます。

Ⓑ「タスクリスト」「手帳」で「スタートライン」「デッドライン」を確認しながら、この1か月で作業するタスクを1日から31日までのラベルを貼った31枚のクリアファイルに入れていきます。そして「31DAY」に立てておきます。そのとき、1か月以上先のタスクは、4月から3月(年度単位で使う)までのラベルを貼った12枚のクリアファイルに入れます。

Ⓒ毎日(できれば前日の帰りがけ)該当する日のラベルが貼ってあるクリアファイルからタスクファイルを取り出し、「TODAY」ボックスに入れます。できればその日に手をつける順番に左手前から並べておきます。

Ⓓ当日は朝から手前のタスクファイルから順に手に取り、作業を始めていきます。自分との約束として手帳に「タスクの時間」としてロックした時間になったらアラームやリマインダーの合図とともに作業を開始します。これで必ず取りかかれます。

Ⓔ作業が終ったら、「アウトプット(納品)」「ファイル(ストック)」「不要(廃棄)」のいずれかで処理し、手もとから消し去ります。

Ⓕ相手に渡して「返事待ち」のものは「WAIT」ボックスへ、作業が終わらずに「ペンディング」にするものは次の作業日を決め、「31DAY」ボックスの該当する日にちのタスクファイルへ入れておきます。

Ⓖこのように作業をすすめ、「TODAY」ボックスのタスクファイルがすべてなくなったら本日の作業は終わりです。

 このようにすると、机上に「タスク」が残らないのですっきりします。

やっている作業のスピードを落とさない・中断させない

 作業のスピードを落とす「中断」には、あらかじめ対処しておくこと、つまり「打てる手は打っておく」ことが大切です。

中断の原因はおもに「人」と「モノ」が多いのですが、パターンとしては、

Ⓐ自分がやっていなかった場合。(準備不足)これは、全体が見えていない状態、あるいはゴールが見えていない状態で自分が原因で作業が中断してしまうことです。

Ⓑ相手がやっていなかった場合。(ダンドリ不足)これは相手に作業を依頼する際、納期、全体像、イメージ、予定、作業内容が伝わっていないことから起こります。

Ⓒ相手がいなかった場合。(コミュニケーション不足)これは単純に予定の確認が不足していたということです。

Ⓓトラブルで作業がすすめられない場合。(見込み不足)トラブル自体はある程度仕方ないのですが、かなりの部分は事前に手を打つことにより回避できます。予測可能なトラブルやクレームなどはあらかじめ対処しておき、エラーやトラブルの連鎖を防ぐための「フェールセーフ」という連鎖を断ち切る手を打っておきます。

Ⓔモノがない場合。これは「そのもの自体調達していない場合」は論外ですが、「あるけれど見つからない」という場合は、「探し物をしなくてすむ」ようにしておくことです。

Ⓕモノはあるけれど使えない場合。これはしっかりメンテナンスをしておくか、メンテナンス自体しなくてよいモノを使うことです。

基本的にはこの6パターンですが、それぞれある程度未然に防ぐことができます。「ゴール」と「ゴールまでの道すじ」「通過点」のイメージをしっかりと持ち、準備することやモノの確認、人の手配などをチェックリストで確認しましょう。

 それでも解決できないときは、「最善の策がとれないならば次善の策」と気持ちをシフトします。そして必要な判断をし、立て直しながらすすんでいきます。決してそのまま立ち止まって中断した状態にしないようにしましょう。

モノへのアクセスタイムを減らす

「モノはあって使えるのだけれど、使うまでに時間がかかる」という性質の課題には「アクセスタイムを減らす(選ばない・迷わない)」という仕組みで対応しましょう。

一つひとつは今まで言われてきたことなのですが、これを5つ組み合わせることによって作業のスピードが格段にアップします。だまされたと思って実践してみてください。

「モノを減らすこと」(整理)

手順としては、まず初めに「モノを減らすこと」(整理)から始めます。目的のアイテムを素早く見つけるためには、相手をするモノの総数を減らし、見つけやすくすることが第一歩です。

モノが多ければそれだけ探すのに時間がかかります。同じ機能のモノがたくさんあれば、「今日はどれを使おうか」と迷います。また、不要なモノは「雑音」となり、目的のモノを隠してしまうこともあります。まずは、すべてのアイテムを机に出し、不要なモノをなくし、同じ機能のモノは1つにしぼるという作業をし、相手にするモノ自体の数・種類を減らしましょう。

これは昔から「整理」と言われていることですが、オフィスの机上や引き出しなどでもなかなかうまくいかないのではないでしょうか。とにかくここから始めてみましょう。

「定番・定量・定位置」(整頓)

次に「定番・定量・定位置」(整頓)です。整理をしてモノを減らしても、それをキープするのはなかなかたいへんなものです。

人間は心配性なので、必要以上に予備、つまり「ストック」を持ちたがります。これは本能的なものなのでなかなかやめることができません。

私はこれを「定番」と「定量」という2つの仕組みを使ってコントロールしています。

使うアイテムをなるべく汎用性のあるものや手に入れやすいものを使うようにし、使い切っても、あるいはこわれても大丈夫という安心感のある状態にします。次にストックは「1つ」「1箱」「1冊」というように決め、必要以上にストックしないようにします。ストックを使い始めたら次のストックを用意すれば大丈夫という安心感を持つようにします。これだけでモノの数は減っていきます。

そして肝心なのは「使ったら元に戻す」ということです。モノは「何かをするために使う」ので「使いたいときにない」と困ります。前回使ったモノを元に戻していないと、使いたいときにそこにモノがないことになり、どこか別のところから探してきて「別のモノ」を持ってくることになります。するとまた使ってそのままになり、そこが新しい置き場所となってしまって、「別のモノ」は元にあったところからなくなるので、その「別のモノ」を使いたい時には「またさらに別の場所」から「さらに別のモノ」を持ってくるというスパイラルにおちいります。

ですから使ったものは必ず元の位置(定位置)に戻すようにしましょう。

あらかじめ机上や引き出しに「モノの定位置」を決めてしまうとうまくいきます。すると「別のところ」「別のモノ」は不要となるので全体のモノの数が減ることになります。

たとえば職人の道具や料理人の調理器具、大工道具などのように必ず定位置にあれば見ないでもそのモノにアクセスすることができます。

ビジネスマンでも上着のポケットやカバンなどから名刺、手帳、ペン、メモ、携帯、財布、ハンカチなどを見ないで取り出すことができます。そしてもう一歩すすめて、使い終わったらさっと元に戻すということができれば、モノへのアクセスタイムは格段に減ります。まるで「武士の居合抜き」のようですね。要は「整頓」をしましょうということです。

「モノの置き方」(立てる・重ねない・見やすく)

そして三番目に「モノの置き方」(立てる・重ねない・見やすく)ということです。

「書類を探す」というとどういうイメージですか。ちょっと想像してみてください。デスクの上に山積みされた書類の中から一枚一枚書類をめくって探したり、封筒、紙袋、カバン、キャビネットから一件一件探す、なければまた同じところを何度も何度も探す。というイメージがわくと思います。

でもファイルボックスを使って、そして一件一葉のクリアファイルに入れて立てておけば、格段に探しやすくなるのです。書類は寝かせておくと積み重なり、探すのに手間取ります。「あるのに見つからない」こともしばしばです。「木は森に隠せ」というように書類は紙の山の中から探し出せないものです。

また、中身の見えない封筒よりも中身の見えるクリアファイルに一件一葉で書類をまとめておけば、その案件が一発で取り出せるのです。

筆記具も一緒です。ペン立てをガサガサと探すより、4色+1ボールペンを一本だけ机上にペン先を手前にして置いておけば、最短のアクセスタイムとなります。ペン立ても不要かもしれません。

「あらかじめ必要なモノをすべて用意しておく」

そして四番目に「あらかじめ必要なモノをすべて用意しておく」ということです。

作業を始めてから必要なモノを準備するのでは、中断したり、スピードが落ちたりして、またトップスピードになるまでに時間がかかります。先の「居合抜き」で取り出せるモノ以外の必要なモノは最初から用意しておきましょう。

じつはここがポイントです。みなさん上記3つのポイントまたは「ワザ」として持っていることが多いのですが、それ以外のモノを探してタイムロスをすることが多いのです。たとえば、データ、資料、名簿、ファイル、帳簿などがあてはまります。封筒、切手、伝票、用紙、袋、箱などのちょっとしたモノも対象です。

「机上には1つのタスクだけ置く」

最後に、実際に作業するときには、「机上には1つのタスクだけ置く」ことです。

私はデスクの右から左方向へ作業をすすめるようにしています。これから作業するタスクを1つだけ取り出しクリアファイルから机上に取り出します。道具や資料はすべてそろっている状態で作業を始めます。割り込みがあった時は紙に書いて「INBOX」に入れ、淡々と作業を続けます。終了したら左へ流していきますが、作業は雑音が入らないように1つの作業だけに集中します。余計なモノやタスクは机上に置きません。

時間泥棒を退治する

時間泥棒は、おもに「人」、「モノ」、「情報」プラス「五感からの刺激」です。

まず、時間をムダ遣いさせられてしまう「外からの割り込み」によるロスタイムをなくすことが大切です。私たちにとって、三大時間泥棒は「人」「モノ」「情報」です。

人とのつきあい方、モノの持ち方・使い方、情報の集め方・関わり方を整理することによって、時間の浪費が減り、自分時間を格段に増やすことができるようになるのです。

人は訪ねてきたり、連絡してきたりしますので、基本的になるべく「会わない」「電話に出ない」などの対応で断るようにします。どうしても必要なことはもちろん対応しますが、どうでもよいことは断るか後にしてもらうようにしましょう。そういう仕事のやり方であることが浸透すれば、相手も何とも思わなくなります。

モノは置かないようにし、最小限で作業をこなしていきます。机上にもほとんどいらないはずです。情報も必要最小限、最新版だけにしぼり、余計な情報は入れないようにしましょう

まずはそれぞれの重要度を考え、半分に減らしてみましょう。半分に減らしてみてもじつはたいしたことはないことがわかりますし、自分時間が増えたことがすぐに実感できると思います。

五感からの刺激の割り込みをなくす

そして次に五感からの刺激の割り込みをなくしましょう。人間は五感からの刺激に弱く、すぐに反応してしまいます。見るもの、明るい・暗い、聴こえる音、香り・におい、暑い・寒い、痛い・かゆい、身体の内外からのさまざまな刺激など、ほんの少しの刺激でもすぐに反応し、あれこれ考えてしまうのです。それ自体が時間泥棒となってしまうのです。

ですから要は環境をつくることです。「人は断る」「モノは置かない」「情報は断ち切る」という何もない状況が時間泥棒を遠ざけます。

時間泥棒に対処するには心がまえとして、「捨てる(やめる、断る)」「減らす」「対応する」ということ自体をはっきり決めることです。でももしそれができない場合は「後まわし」「まとめて」「こちらの都合のよいときに」処理します。

その時間をあらかじめどこかに作っておくとよいでしょう。

 また普段の生活の中ではやっかいな「時間浪費デバイス」と「夜の時間泥棒」にも気をつけましょう。

「時間浪費デバイス」は時間を決めて使う

「時間浪費デバイス」は時間を決めて使うようにしましょう。

私たちの生活の中にはすでに「時間浪費デバイス」がたくさんあります。

たとえば、テレビ、ビデオ、パソコン、スマホ、携帯電話、ゲーム機などは便利なものですが、時間を決めて使うようにしましょう。

テレビ、ビデオ、インターネット、メール、ゲーム、SNS、ネットショッピングなどは時間があればあるだけ使ってしまいます。

「気づかないうちに時間が経ってしまった」「一度始めるとなかなかやめられない」「ついついクセになってしまう」ということがありませんか?

結局、建設的でない時間を費やしてしまい、後悔したり、自己嫌悪におちいるといった「負のスパイラル」にはまってしまいます。

時間を決めてから始めましょう。

「夜の時間泥棒」に気をつける

夜は時間割や締め切りがないので、「時間泥棒」に会いやすい時間帯です。特に注意が必要です。

テレビ、ビデオ、インターネット、メール、ネットショッピング、SNS、雑誌、電話など「ちょっとだけ」と思って一度始めてしまうと、浦島太郎の竜宮城のようにたちまち時間が過ぎてしまって、「しまった、もうこんな時間!」ということになります。

あなたも経験があると思います。

タイマーやアラームなどのツールを上手に使って、「時間を決めて」始めましょう。

作業を素早く片付け、ものごとを早くアウトプットする

キーワードは「納期」「品質」そして「自分へのごほうび」です。私はとても単純ですが、いつもこの方法で乗り切っています。

期限を守れない100点は0点以下

はじめに「納期」です。

「期限を守れない100点は0点以下、提出していないのと同じである」と考えましょう。どんなに完成度が高くても、期限に間に合わなければ意味がありません。評価に値しないので0点にもならないのです。そのことをしっかり頭に入れて作業をしていきましょう。

まずはエンドライン、デッドラインを決めて、手帳に書いてロックしてしまうことから始めます。そして、納期のデッドラインを相手に宣言してしまい「背水の陣」で臨むとよいと思います。

ダンドリとしては、「夜討ち朝駆けの術」でとにかく相手に早く投げること、「お手玉、ジャグリング、ブーメラン、キャッチボールの術」で手待ち時間をつくらないこと、そして相手に少しでも早く返すということが大切です。とにかく納期を大切にしましょう。

品質は相手のOKが出ればタスク終了

次に「品質」です。「相手のお墨付き」つまり「了承」や「OK」を取りつければよいのです。まずゴールを見て、クオリティをコントロールしながら相手とゴールを共有します。完璧主義は不要で、まず60%ぐらいできたら相手に「たたき台」を渡して相談し、方向性の確認をします。そしてすり合わせをしながら残りを仕上げていきます。

品質は相手のOKが出ればタスク終了、「ミッションコンプリート」なのです。ですからテマのかけすぎはムダ、「100%」「完璧」を目指さないことと考えましょう。世の中の大半のことが「100%」や「完璧」を必要としていません。「100%」を実現するためのテマヒマは大きな時間のロスとなります。まずは6割主義で進めましょう。「テマをかけるだけの価値があるもの」だけにテマヒマをかけて、それ以外のことはせず、前向きに他のことをしましょう。

そのとき過剰品質は不要なので、相手の求める品質で出すこと、相手品質で納品し、自己満足のタスクをしないこと、すでにあるものを利用したり、過去のリソースを活用するなどして、最初から作り込みをしないようにすることが大切です。 

「ごほうび」が大切

そして一番大切なが「ごほうび」です。

ミッションが終わったら、自分にごほうびを準備しておきましょう。たとえば次の楽しい予定(ライフ・パーソナル)を入れてしまうなど、モティベーションが上がるような仕組みをつくると次につながり、うまくいきます。

作業の「二度手間」と「やり直し」を省き一度で済ませる

日常的によくあることですが、私たちは作業をしたとき、「二度手間」「やり直し」に直面することがあります。

「二度手間」とは、何か作業をしたときに「モノ」や「人」、「状況」が悪く、一度で済ますことができず、一部または全部をもう一度行うことをいいます。

「人を訪ねたけれど相手が留守だった」「モノを買いに行ったけれど売り切れだった」「行ったらお店が休みだった」「相手にメッセージが伝わっていなかった」など結局もう一度やらなければならないことを指します。

これに対し、「やり直し」は作業をして形にしたにもかかわらず、過不足があったり、間違っていたことにより、もう一度最初に戻って、あるいは途中から行うことを指します。

いずれも作業の前にゴールの確認、相手とのコミュニケーションなどにより防ぐことができるものですが、ついそれを忘れて作業を始めてしまったり、途中の確認を省いてしまったりして、結果的に「二度手間」や「やり直し」となってしまいます。

これらは、「違うゴールへ着く(答えが間違っている)」「ゴールに着かない(答えが出ない)」「ゴールを通り過ぎてしまう(やり過ぎてしまう)」ということになり、どれも満足した結果に結びつきません。

日常的に仕事ではよくありますが、子どもの頃に買い物、お手伝い、テストなどで誰もが経験したことです。

結果的に作業時間が倍以上かかり、成果物も「そこそこ」しかできず、しかも自分も相手も「何かもやもやした気持ち」が残るので、できれば避けたいパターンです。

あたりまえですが、「二度手間」は一度でうまくいかないから二度やることになるわけです。「やり直し」は誰かにやり直しをさせられるからやり直す、つまり、OKが出ないでNGということです。

NGが出ないようにするには、相手とゴールと方向性の共有が不可欠で、相手品質で必要十分のアウトプットをしましょう。やり直すくらいならていねいに、一度に済ませる方が早いのです。

そして、二度手間を避けるには、(これもあたりまえですが)一度で済ませるよう工夫することです。結局それにより、さらにスピードアップします。

具体的な仕組みとしては、

Ⓐ「一筆書きの術」 多くのものを一度に済ます、ついでに済ます。

Ⓑ「分身の術」 何かをしながら別の何かを動かす、タイムシェアリングで二重に時間を使う。

Ⓒ「コミュニケーション不足をなくす」 相手品質でゴールを設定する、相手にゴールと方向性を確認し共有しておく。

Ⓓ「必要十分で動かす」 やりすぎない、むしろ足りないぐらいでよい、相手に「そこまでしなくてよかったのに」と言わせない、モレなく、ダブりなく、過剰品質を避ける、足りなければ相手は追加注文してくると考える。

Ⓔ『「ほつれる前の一針」でリスク回避をする』 ほつれそうなところを見つけたら、手間を惜しまず迷わず一針縫う。

 Ⓕ「タスクや人、状況についてあらかじめ確認を入れておく」

という形でアプローチすればたいがいうまくいきます。要はちょっとした「気遣い」と「確認」なのです。

人の力を借りて成果を出す

 人の力を借りるというのは、「アウトソーシングする」「時間を買う」のとは少し違った方法です。単に人の力を借りたり、依頼したりするレベルの話だと思ってください。

先の「時間とお金の使い方」のところでは時間を買うことによって「外から時間を持ってくる」「足す」ということができます。道具・手段・サービス・知恵を買う、つまり「時間自体を買う」「サービスや製品を買う」「ノウハウを買う」ことができますとお話ししました。

 でもここでは「ワーク」を減らすという観点で「頼む」「一緒にやる」「知恵をかりる」「成果物をかりる」「人脈をかりる」ということを考えます。

 「作業の一部としてのタスク」を頼んで任せておいて、その成果を受け取るという形、「丸投げ」というのではなく、全体の作業の一部を依頼する形があります。

 また、作業やアイディアを共有しながら新しいものを創っていく形、つまり、「一緒にやる」形とするとグループワークとしてのメリットがあります。

 そして、作業をするときに「手」でなく「知恵」をかりたり、「その人の過去の成果物」を土台にさせてもらったりすることもできます。

またその人が持っている人脈を使って、ダンドリをスムーズにしたり、納品する相手のOKを上手に取っていく方法もあります。

自分一人の力は限られていますので、様々な形でまわりの人の力を積極的に借りましょう。単に自分が楽をするという意味ではなく、よいものを早く創るという意味でとらえましょう。

2.アポイント(他人とやること) 

- 他人との約束 -

「ヒトとやるコト」

- アポイントをさばく -

「アポイント」は「人との約束」の時間です。人と会ったり、相談したり、交渉したり、会議や打ち合わせ、ミーティングなども含まれます。基本的に始まりの時刻と終わりの時刻があり、スケジュール表に予定として書かれます。「いつ、どこで、誰と何のために会う」という性質のものです。

アポイントを断り、会わないで済ませる

そもそもアポイントとは何でしょうか。それは「人との約束」です。あるいは「人と会って何かを成し遂げる」ための約束とも言えます。

では、会って何を成し遂げるのでしょうか。何のために会うのでしょうか。

それは、「お互いのゴールに向けた前進」のためです。

基本的には「ゴールの共有、すり合わせ」「ゴールへの道すじ、諸条件の確認」「利害関係や課題・問題の解決」「おわび、お願い」がおもなアポイントの中身だと思います。時には「単なる顔合わせ」といったものもありますが、この先円滑にいくように前進するのであれば、それも1つの目的となります。

それでは「お互いのゴールに向けた前進」は直接会わなければできないのでしょうか。よく考えてみると必ずしもそうではありません。実際に会うにしても、その他の手段、方法で前進させることは可能なのではないでしょうか。

たとえば、「話の内容をあらかじめメモや書面ですり合わせておく」「話の流れや概要、ポイントをメールやファックスで伝えておく」「課題や問題点などを電話で相談しておく」など実際に会った時は「笑顔で握手」となるようにダンドリをすることもできます。

さらに進めて、会わないで済んでしまうような案件もあるのかもしれません。

会議、ミーティング、打ち合わせの中には、こういった形でさばけるものが多いのではないでしょうか。

実際に会うときにはもっと有意義に楽しく、ハッピーになるように会いましょう。

アポイントをコントロールし、なるべく減らす

 まったく会わなくて済ませられればそれでよいのですが、そうでない場合にはアポイントをコントロールしてなるべく時間を短くします。

 たとえば、「今から45分間」という形で時間を決めたり、区切ったりします。あるいは、「15時20分まで」という形でエンドラインを決めるなどとし、時間が伸びても大丈夫なように、次の予定との間にゆとりの時間(バッファー)を持たせるようにします。

また、自分の都合で待ち合わせ場所と時間を決めるようにします。たとえば本屋、いきつけのお店、駅の近く、次の仕事の近くなど時間のムダがないようにしたり、なるべく昼前に設定し、後の時間のプレッシャーを使ったり、後の予定をつくっておいてあらかじめ相手に「後に予定がある」旨を伝えておくなどしてデッドラインを決めてしまいます。

そして、「打ち合わせ内容を少なくしてから会う」「あらかじめ整理して話すことをしぼる」などの前段階の準備もしっかりとしましょう。

とにかくアポイントは自分の都合中心でとります。アポイントをとる時に自分の都合を最優先せず、相手の都合で決めてしまうと、結局タスクが減らず、時間に追われることになります。

3.ダンドリ 

- やり方とならべ方 -

ダンドリ上手は生き方上手 

「ダンドリ」って…。

「ダンドリ」って何でしょう?

日頃よく使う言葉ですが、あまり真剣に考えたことはないかも知れません。

いろいろと解釈はあると思いますが、私はこう考えています。

「ダンドリとは、何か目的、つまりゴールにたどり着くために行う作業や思考などの手順や順序を決め、実行していくプロセスのこと」です。

ダンドリを上手にすることによって、私たちは、余計なテマヒマかけず安心してものごとを進めることができます。

そして、ひとつひとつのタスクやプロジェクトがうまくいくことにより、結局はその総体である人生がうまくいくことにつながります。私はそう思います。「ダンドリ上手は人生上手」、豊かな人生を楽しんでください。

さて、こんなことはありませんか。

①「気がつくともう出かける時刻」「気がつくともう締め切りの時刻」、でもまだ何もできていない。何をしていいのかわからない。

②「忘れ物が多い」「やり残しが多い」「一度でものごとが終わらない」「二度手間になることが多い」「つい余計なことをやってしまう」。

③「もっと早くから準備しておけばよかった」と思うことが多い。「前にも同じ失敗をしてしまった」と思うことがある。

その原因は、

①自分がその時にやるべきことが把握できていない。全体像がつかめていない。

②順序・順番・手順を決めないで作業や行動をはじめるので、二度手間、過不足、忘れ物、やり残しが多くなる。

③事前にできることをやっておかなかったり、その時にしなくてもいいことまでその時間に詰め込んでしまうので、失敗が多い。

ということなのです。

ですから、

①その時にやることを決める。

②一度でものごとを済ませる。

③早めに準備をする。

という形にすればよいのです。

そしてとるべき行動としては、

①まず、その時にやることをすべて紙に書き出し、全体像と総量を把握する。

②次に、不要な作業を削り、必要十分なものだけを残し、重要なものからリストにならべる。

③そして、ひたすらタスクリストを順にこなす。決して迷わない、立ち止まらない、リストにない事はしない。

ということに尽きるのです。もちろんすべてがこのように単純にわり切れるわけではありませんが原則これで基本的には解決し、ダンドリがうまくいくようになります。

ダンドリの三原則(心がまえ)と「基本的な手順」

ダンドリの心がまえの三原則は、結論として、つぎの3つに集約されます。

一、全体像をつかみ、やることを決める。

二、手順を決め、一度でものごとを済ませる。

三、周到な準備をし、早めに行動を開始する。

そして基本的な手順、プロシージャ-は、次の7つです。

①ゴールを決める。ゴールポイントに旗を立てる。

②スタートからゴールまでを俯瞰する。全体像を見る、道筋を決める、地図で確認する。

③やることをすべて洗い出す。タスク・やること、やり方の確認、不要なことを捨て、整理する。必要なことだけ残す。

④作業手順、順序を決め、スケジュールを立てる。タスクリストをつくる。

⑤小さな目標、マイルストーンを決める。作業のガントチャートを作成する。

⑥ひたすらタスクリスト順に実行する。

⑦作業状況をゴール、マイルストーン、スケジュール、タスクリスト、ガントチャートで確認し、モレや抜け、ルート・道筋、納期・スケジュールなどをチェックする。同時に「必要十分」「過不足なく」「不良品や過剰品質をなくす」というクオリティチェックを行う。

4.リスクマネジメント 

- あらかじめ予想できることの危機管理 -

「リスクマネジメント」と「トラブルシューティング」で「あせる・あわてる・パニくる」を避ける

 「タスク」と「アポイント」がうまくさばけるようになり、「ダンドリ上手」になったら、次に気をつけることは「リスクマネジメント」と「トラブルシューティング」によって「あせる・あわてる・パニくる」という状態を避けることです。

「リスクマネジメント」で大切なことは次の5つです。

①全体像の把握とリスクの予測をしておくこと

②実体のない漠然とした不安ではなく、具体的に作業に対する心配をしていくこと

③周到な情報収集をし、何か気になることがあれば、「ほつれる前の一針」を施すこと

④人に対しては「配慮のある声掛け」をしておくこと

⑤リスクがありそうなところに対し、適切なタイミングで適切な行動をとっておくこと

5.トラブルシューティング 

- あらかじめ予想できないことの危機管理 -

「トラブルシューティング」

「トラブルシューティング」で大切なことは次の5つです。

①起きたトラブルの状況の把握を的確におこなうこと

②迅速に必要な情報収集をすること

③的確かつ迅速な意思決定をすること

④対象への適切なアプローチをおこなうこと

⑤事態収束の判定とクロージングを誤らないこと

6.バッファー 

- タスクもアポイントもダンドリも -

バッファーをつくること「遊び、スキマ、ゆとりこそうまくいく秘訣」

人間の心は不思議なもので、ゆとりを持つことによってものごとがうまくいくようになります。

自動車のハンドルは「遊び」があるからうまく運転ができます。レールや建具はスキマがあるからこそスムーズに動きます。物事も人の心や時間にゆとりがあるからこそうまく進みます。

言い換えれば「バッファー」つまり緩衝材・クッションがあって物事がうまく進むのだと思います。

「コト」を取り扱うときの極意はこの「バッファー」「遊び、スキマ、ゆとり」なのではないでしょうか。

心にゆとりを持って進めることによって、頭(脳)の処理能力、処理策度が安定的に保たれ、あせりやパニックがなくなることによって、処理に対する邪魔が入らなくなります。

これだけでも格段に作業効率が上がり、パフォーマンスの向上が期待されます。

また、別の意味のバッファーとして、「一時保管」「とりあえずの置き場所」が大切です。両手がふさがっている時でも、そこに一時保管する置き場所があれば、落ち着いて作業を続けられるのです。

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